日本記者の無知と中川大臣辞任報道

同行記者はなぜ記者会見席上で注意しなかったのか

世界は生き馬の目を抜くメディアの戦場だということに無知な日本人記者たち

 中川財務大臣酒気帯び記者会見・辞任問題がメディアで、時ならぬ集中豪雨報道が起こっている。
 しかし問題の記者会見のシーンを見ていた限り、会見の場で中川氏の異変を指摘する日本人記者はいなかった。中川氏の表情がおかしいだけでなく、隣の日銀総裁のコップを取ったシーンに、唖然とした。しかし同行記者たちは”粛々と?”まるでロボット記者でもあるかのように、無感情で機械的な質問を続けていた。
 やがて外国のメディアが冷やかし半分に酒気帯び疑惑を報道することで、日本のテレビ、新聞は俄に騒然とし、外国メディアの尻馬に乗った報道洪水が起こったというわけである。そんなわけで、中川氏の”首を取った”と囃し立てる日本メディアの振る舞いは、浅はかだし釈然としない。
 なぜ、日本人記者は会見場で中川氏を注意しなかったのか。中川氏あるいは周辺が体調異変に気づいて退席するなどの措置を講じていれば、鵜の目鷹の目の外国メディアの餌食になることはなかったのではないか。
 世界は”生き馬の目を抜くメディアの戦場”である。平和呆けの日本人記者は記者クラブの温室にどっぷりとつかり、ジャーナリズムとしての誇りも質の競争もなく、日頃からなれ合い報道を続けているツケだろうか。
 G7の場の中川氏の失敗で国益が大きく損なわれたのだ。とはいえ円がどんどん安くなっているのは、怪我の功名かもしれない。
 思いがけない失敗は国際社会の苛烈な報道戦争の場で露呈し、外国の報道機関に振り回された後追い報道にうつつを抜かす羽目になるのだ。
 メディアは事実を報道するものだが、同時にその国の誇りと国益を背負ったものであることを、記者は忘れてもらっては困る。
 中川氏の恥は日本のメディアの恥でもあるのだ。
それにしても中川氏と食事を共にしたという読売新聞の同行記者がいたというが、食事を共にしたのなら、解説でも弁明でも、記事のひとつでも書いたらどうなのか。いやはやどうなっているんだろう?