雪の金閣寺も幻にーー不都合な真実
京都議定書の京都が世界の中心に?
ゴア前米国副大統領が作った映画「不都合な真実」は、世界的にヒットしています。観客層も老若男女に偏りがないようです。
暖冬で地球温暖化を実感しているので、この映画の怖さがひしひしと伝わります。
この作品は映画の常識を逸しているとか、反ブッシュのキャンペーンだという御用評論家がいますが、政治的な意図を超えた真実があります。
まあ映画が娯楽だと思い込んでいるエセ評論家や戦争賛美主義者にはとんでもない映画なのでしょうがね。そういうアホな輩が日本のメディアを牛耳っているのは困ったことです。
米国でも大ヒットしているようですが、京都議定書の京都を地球環境保護のシンボルにしようという動きが、米国から出てきています。
かつて京都の冬といえば底冷えがすごく、東北出身の知人が京都の寒さは身にしみると逃げ出したことがあるほどでした。その京都で今年の冬は雪がほとんどなく、手袋がいりませんでした。
雪の金閣寺は幻になりつつあります。
地球温暖化のもとになるCO2削減をうたった京都議定書の実行が焦眉の課題ですが、膝もとのアメリカや中国などの経済大国が消極的です。
こうした中で、京都には、地球環境浄化のメッセージを世界に発信する義務があります。
しかし京都人はそういうことを好まず、閉鎖的で自足的な生活を続けてきました。太平洋戦争でも爆撃を受けなかった唯一の都市です。行政は、寺のライトアップは積極的にするが、地球環境保護には無関心です。
世界には京都しかないと思っていて、京都は世界の一員という意識は希薄です。古都1000年の伝統といえば聞こえはいいが、つまるところ他者への無関心があります。最近の行政官庁の不祥事の多発も京都人の意識の欠如を反映しています。
京都は寺社の文化財を保守し観光で生きてきました。しかし京都が”地球環境保護のシンボル”というなら、京都は変わらざるをえなくなります。
京都にないもの、それはメディアです。京都には発信力のあるメディアがありません。地元新聞一紙、地元放送局ひとつだけです。あとは全国紙の支局がある程度です。
メディアは不在ですが、古いもののシンボルなら、いくらでもはあります。最近は「漫画博物館」もでき、町屋とかサブカルチャー研究も盛んです。大学もたくさんあり学生も大勢います。
しかし、全国レベルの発信力はなく、ましてや世界的な発信力など及びもつきません。大学も行政も実業界も古い文化遺産にすがりついて生き延びているというのが、現状です。
国際性、知的センスなど文化都市のレベルでいっても、同じ関西の神戸にくらべ、遅れをとっています。
京都議定書の京都を現代によみがえらせるには、世界的に発信力のあるメディアを作り、育てることが急務であるように思います。
私たちが立ち上げた現代メディア・フォーラムは、京都を拠点にして、これを考えてきました。CNNの創始者であるテッド・ターナー氏らが京都に強い関心を寄せているとのことで、このさい世界のメディア界の大先達のお知恵を拝借しようと動いております。