”命取り”スキャンダルの構造

関西出身者が餌食になりやすい理由

 本間正明・政府税調会長が、官舎に愛人を囲っていたというスキャンダルが暴露されて、辞任に追い込まれました。政府・自民党内の政争の犠牲になったなどの同情論もありますが、税に対する国民の信頼感を損ねたという点で、辞任は当然です。
 どうやら大学教授という”人種”は、政治家や官僚以上に利得意識が強く、言うこととやることの乖離が甚だしいようです。教授は大学内では何をしていても地位は安泰なのですが、外部の役職となると甘えは通用しなくなります。
 一部は報道もされていますが、公費で支給された研究費を私的に流用する話は珍しくなく、個人用のスーツまで購入したなどの話はゴマンとあります。
 それはともかく、こうした政府高官の地位に就任した本間氏の”脇の甘さ”が非常に気になります。安部首相も任命責任を問われていますが、一番驚いたのは安部さんではないでしょうか。本間氏にはまったく同情しませんが、安部首相には一抹の同情を禁じ得ません。
 学者ではないが、以前にも、キャスターの山本もなさんが、TBSのニュース23に起用されながら、たった数日で降板したことがありました。
 これもスキャンダルが理由で、彼女の相手は民主党の細野代議士だということでした。山本さんは大阪のテレビ局出身、細野代議士は京都の大学の出身です。阪大教授の本間氏もそうですが、やすやすとスキャンダルの餌食になるのは、関西出身者が多いのです。なぜだろうか?
上京してせっかく獲得した”全国区の地位”を、愛人スキャンダルであっけなく手放す、というわけです。
 その理由は、関西には週刊誌がないからです。愛人スキャンダルの暴露はだいたい週刊誌の得意技です。女性週刊誌を含め、東京の週刊誌は虎視眈々と有名人やメディアで目立つ人たちの身辺情報を探り、スキャンダルを狙っています。
 週刊誌は、大新聞のように記者クラブに加盟していませんから、ネタ元はだいたい”たれ込み”と称する内部告発です。
 大新聞ができないスキャンダルを報道することで、週刊誌は新聞以上の政治的影響力を行使することがあります。過去にもそんな例はたくさんあります。
 本間氏のスキャンダルは、安部内閣に打撃を与えただけでなく、日本の税調や国家の方向性にも影響を与えかねないものです。
 また山本さんのスキャンダルもTBSという日本の巨大ニュースメディアに打撃を与えました。
 東京の著名人や政府高官たちは週刊誌の怖さと影響力を十分にわきまえて、スキャンダルに対する脇を固め、用心深く生きているのですが、週刊誌のない関西出身者には東京の週刊誌の怖さがわからない。この程度ならと、脇が甘くなるのです。
 関西から”全国区”を狙う人々は、こうした週刊誌の情報ネットワークのことをもっと勉強する必要があるでしょう。関西人は、たかが”週刊誌”と思っているかもしれないが、これが”命取り”になるのです。