税調会長にふさわしくない人物

世も末、官舎に愛人同居疑惑とは

 税調会長になった本間正明・阪大大学院教授が、東京の官舎に愛人を住まわせていたというスキャンダルが発覚した。当人はプライバシーの問題だとしてノーコメントというが、こんな人物が国民から税金の集め方を決める税調会長としてふさわしいだろうか。
 月に2,3度の会合のために東京に官舎が必要かどうかも問題だが、税金で運用する官舎に愛人を住まわせるのは、明らかに税金の私的流用ではないか。北朝鮮でもあるまいし、なぜそんな”特権”が許されるのか。
 国税地方税、消費税を合わせると、国民はひどい重税感にあえいでいる。そのうえにもっと税金をたくさん取ることを相談するところが、政府税調の仕事だろう。
 税金をたくさん取られていても、福祉や年金が充実し、老後に何の心配もいらない北欧のような先進国ならば、国民は納得する。しかし日本国民の大多数は、役人天国の政府を信用していない。年金も危うく、病気や老後は自己責任でしのぐしかないと思っている。
欧米の市民とは違い、日本人大衆は納税者意識が低く、税金をお上に収める”年貢”のような感覚で捉えている。仕方なく収めるのだから、収めた後は、税の使途に無頓着で、政府や行政がどんな使い方をしているのか問わない。納税者の権利を主張しないのが、日本の大衆文化の特徴だと、欧米の日本研究者たちはいっている。
 黙々と税金を収め続ける国民の存在は、政府にとっては有り難いことだろう。
 最近は、知事のゼネコン工事発注をめぐる贈収賄事件がマスコミをにぎわしているが、これらの資金源も税金だ。
 官民がよってたかって税金の”私的な分け前”に群がる浅ましい図だ。
 本間税調会長の愛人スキャンダルも、この浅ましい図柄の1ページを飾った。そういう地位、立場にいる人間が、少しでも私的に得をしようとする意識があるから、こうしたスキャンダルが後を絶たないのだろう。
 ノーブレス・オブリッジという言葉がある。欧米のエリートに課せられる道徳意識だ。高い地位に有る者は、私心や私的な利益を求めてはならない、高いボランティア精神を持って、世の中に奉仕せよ、というものだ。
 本間氏の行為は、教育者である大学教授としてもふさわしくない。とりあえず、税調会長の地位を自ら辞任するか、更迭されるべきだ。
 本間氏は、余人をもって代え難い、と思っているかもしれないが、本間氏くらいの経済学の知識を持った専門家はいくらでもいる。ノーベル経済学賞クラスに匹敵するほどの人材でもないからだ。