アジアを旅する中田英寿

「一介の人間としてシンプルに生きる」

 引退した中田英寿の生き方は、アメリカのメディア界の注目も集めています。
CNNが特別番組を組んで、引退後の中田選手の人生について、インタビューしていました。
 日本のメディアには無口で知られる彼が、CNNのインタビューに対してはにこやかに答え、しかも流暢な英語でした。
 「有名人というだけで注目されるのがいやだった」といい、日本を離れてアジア諸国を旅しながら、誰にも気兼ねなく自由な生活を送っているということです。「タイの屋台で食事し、中国で万里に長城に出かける。一介の人間として、自由な生活がとても楽しく素晴らしい。いまは何でもできます。とてもいい人生を過ごしている」と話していました。
 
 CNNによると、世界のサッカー界は、ペルージャに移籍した中田選手の活躍を見て、日本にもサッカーがあることを初めて認識したということです。イタリアに渡った中田人気は急上昇し、ユニフォームなどの中田グッズは、ロナウドに次ぐ売れ行きだったといいます。
 ワールドサッカーでブラジルに負けたあと、ピッチで一人号泣した中田ですが、そのことを聞かれると、「いつもの私は自分を押さえているが、あのときは感情がせきを切ってしまった。なぜそうなったのか、よくわかりません。これでもうサッカーをすることはない、という気持ちがそうさせたのだと思う」と答えていました。
 サッカーを始めた動機もシンプルなものです。
『キャプテンTUBASA』を愛読していたという中田は、まずはスポーツ選手になろうとしました。野球にも興味を持ったが、髪を短くして規律や練習が厳しそうなので、やめにしたということです。野球に比べ、サッカーはすぐ身近にあり、最もシンプルなスポーツだったので、自分が手を出すのにふさわしかったと、話していました。
 いかにも中田らしいスポーツ観、サッカー観だと思いました。
いま彼は自由を満喫しながら、アジア各地を旅し、別の生き方発見することでしょう。近い将来、どんな新しい中田を見ることができるのか、楽しみです。