ワールドカップ異聞

 いま、テレビ報道はワールドカップ一色です。
 海外のテレビでもワールドカップは盛り上がっていますが、自国の勝敗にこだわる日本とは一味違うニュース報道があります。
 CNNは、ドイツのサポーターに出てきた人種差別の動向を伝えました。有色人種の選手への汚い野次が問題になっています。この背景に、ワールドカップ開催に乗じて台頭してきたネオナチが関与しているといいます。
 
黒人選手や有色人種への差別的な野次、「黒いサル」などの罵倒で、南米やアフリカ選手たちの怒りを買っているといいます。そういう野次を浴びると、選手は戦意喪失するほどの精神的ダメージを受けるようです。
 野次を煽っているのが、スキンヘッドのネオナチ右翼集団だといいます。ネオナチは非合法組織で、ドイツではナチズムを擁護する人物は刑法で罰せられます。しかし、近年のウルトラナショナリズムの台頭ぶりは、日本と同様です。
 そこでドイツ警察当局は、競技場を中心に人種差別の野次の取り締まりを強化し、そうしたサポーターを見つけしだい逮捕するといいます。
 ちなみに、反ユダヤ主義のネオナチは、反イスラエル、反米、親パレスチナ過激派、親イランです。
 ワールドカップの中にも、抜き差しならない世界政治の地勢がからんでいることがわかります。