新著の『日本型メディアシステムの興亡』刊行

Tshibayama2006-05-16

小生の新著『日本型メディアシステムの興亡ーー瓦版からブログまで』(ミネルヴァ書房)が、今月末に刊行になります。約10年前に書いた『日本型メディア・システムの崩壊』(柏書房)を大幅に修正加筆したものです。約350ページです。
 江戸末期の瓦版から現代のブログに至るまで、日本の近代メディアの歴史を分析し、論述したものです。これを通じて、日本独自のメディアの歴史と日本社会の基底にある文化が見えてきました。
 いまの新聞やテレビは欧米から輸入された文物で、明治維新に入ってきたジャーナリズムの考えも欧米生まれです。
 日本人はアジア諸国に先駆けて、西欧化の優等生になりましたが、メディアの発展に関しても優等生でした。新聞を例にとりますと、日本は世界一の新聞大国で、一日の総発行部数は約7000万部もあり、第二位のアメリカを2000万部も引き離しています。
 にもかかわらず、日本のメディアが社会に対して、正常な役割を果たしているかというと、大いに疑問があります。
 この本では、日本のメディアの功罪を歴史的に分析し、改革への指針を求めるために書きました。日本という伝統文化の中でふさわしいメディアとジャーナリズムのあり方を追究しました。
 ご承知の通り、日本の巨大メディアの内部からは、不祥事や腐敗が噴き出しています。
 日本社会の民主主義の成熟と発展にとって、メディアの果たす役割は最も重大なのですが、欠陥ばかりが目に付くようになっています。
 「構造改革」というテーマは、巨大メディア自身のテーマですが、メディアはそのことを世間に報道しません。自分の欠陥や不祥事を公表しないのは、ほかの官僚機構と同じです。
 この本では、日本のメディアの具体的な問題点を例示して、分析をくわえ、諸外国のメディアとの比較研究を行っております。
 自分でいうのもおかしいかもしれませんが、江戸時代の瓦版からインターネットのブログに至る日本メディア史の通史的分析は、我が国では初めての試みです。その意味では、学問的な野心作でもあります。
 メディアへの就職を希望する学生諸君や、大学のメディア論、ジャーナリズム論のテキストとしてふさわしいと思います。またビジネスマンや広報関係者の方々にも、M&Aに揺れるメディア界への興味と関心を喚起させ、ビジネスのお役に立てる本だと信じております。
 ご期待ください。